123冊本その1:「ハムレット」

 諧謔に満ちた表現の洪水にただただ圧倒されてしまった。福田恆存の訳が好きだ。しかしいまでは古臭いということになっているのかなあ。こんなに地口があったら訳すのは大変だろうなと思った。

 人間の情というものが、微に入り細を穿ってこれでもかと書き連ねてあるのにアテられたので、息抜きに『草枕』を読む。なんたってテーマが非人情なんだもの。四章(段?)にある海老と羊羹の描写がいい。特に羊羹。全国の和菓子屋は総じてこの文を青磁に入れた羊羹と共に店頭に掲げるべきだと思う。三章の那美さんが春の幻よろしく作者の枕元に現れる所も素敵。