2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

123冊本その74:吉田兼好「徒然草」(岩波文庫)

作業の終わりかけにいつも「高名の木登り」(109段)とつぶやいてしまうのは私だけだろうか。他にも98・110・127段など、行動の指針となってる段がいくつもある。 全部よくて、全部ダメ。指導教授がこの人の物の見方をこんな風に言い表しておられ…

123冊本その73:野上弥生子「迷路」(岩波文庫)

「戦争で中断しながら20年をかけ、昭和31年完結」した「大長編小説」。長編に大がつくんだからすごい。 「お辞儀した」(転向した)青年の敗北感や政治の中枢部の思惑やら戦争で儲ける商家の気負いやら。「夜明け前」のときも書いたけど、これだけ膨大な…

123冊本その72:「ドストエフスキーの世界観」

ドストエフスキーと真っ向から取っ組み合おうという気概が感じられる良書。特によかったのは「自由」「悪」「大審問官――神人と人神」の章。よかったというのは自分に興味のある問題だったから。 しかしどうしても本文よりも引用しているドストエフスキーの文…