123冊本また何冊目かわからなくなった:「イリアス」(ホメロス作・松平千秋訳、岩波書店)

 トロイ戦争に材をとった一大叙事詩
 巻措くあたわざる、とはいかなかった。敗因は私のカタカナ嫌い。ただでさえ登場人物が多いのに、同じ人物でも呼び名がいくつもあるので途中でわけがわからなくなった。アカイア勢・アルゴス勢・ダナオイ勢、これ三つとも同じ軍の名。
 神や人には「黒雲を集めるゼウス」とか「脛宛て美々しき誰それ」と枕言葉がつくのだけれど、ぎょっとさせられるのは「牛眼のヘラ」。丸く大きな瞳をあらわす、女性の美称らしいんだけど、牛眼って言われてもあんまりうれしくない。
 「本当のことを話したら命は助けてやる」と言ってスパイに白状させ、然る後に殺す、というシーンは漫画やドラマでよく見るけど、この時代からすでにあったのねえ(上巻320-324頁)となにやら感心。
 映画「トロイ」を観てたのでアキレウスが出るたびブラッドピットの顔がちらついてしょうがなかった。