123冊本その72:「ドストエフスキーの世界観」

 ドストエフスキーと真っ向から取っ組み合おうという気概が感じられる良書。特によかったのは「自由」「悪」「大審問官――神人と人神」の章。よかったというのは自分に興味のある問題だったから。
 しかしどうしても本文よりも引用しているドストエフスキーの文そのものに目を奪われてしまう。そういえば「芥川龍之介の思想」のときも同じことを書いたような。評論って難しいなあ、とここで自分の論文のことを思い出して暗澹たる気持ちになる。
 『地下室の手記』を猛烈に読み返したくなった。あと、『カラマアゾフ』の大審問官の章。