「1973年のピンボール」

 一作目よりも抵抗なく楽しく読めた。文体への慣れもあるかもしれない。主人公がカントの『純粋理性批判』を読んでるのにときめいたせいかもしれない。この理由、我ながらミーハーでやな感じ。
 本作品では「一対のもの」を意識して多く描こうとしている気がした。なぜかはわからないけど。双子だとか、入口と出口の話だとか、色々。

 春樹の本の魅力を知るために別の人の視点が欲しい、と以前日記に書いたら、「アマゾンの感想を読めばいい」というアドバイスをいただいた。これがよかった。愛のある書評というのは読んでいて気持ちがいい。「ピンボール」と「アフターダーク」両方に「ゆっくり歩け、そしてたくさん水を飲め」という台詞が使われているなど、読み込んでいる人ならではの発見もあり、勉強になった。村上春樹バルザックの「人間喜劇」のように、一つの世界を構築しようとしてるのかしらん。

 さらに、いつも楽しく拝見しているブログで、管理人さんが村上春樹の小説に出てくるサンドウィッチについて取り上げておられた。こういう食べ物に注目した切り口にはいたく感動し共鳴してしまう。食いしん坊ばんざい。
 共鳴ついでにひとつ。「ピンボール」に出てくる食べ物でびっくりしたのが137頁に出てくる「椎茸とほうれん草のサンドウィッチ」だった。そ、そんな具あるのか。