その16:「桜の園」

 これコメディなんだなあ。
 主要な登場人物の誰もがまごつき、泣く。ロパーヒンまでが泣いていた。泣くから悲劇とは限らない。逆もまた然り。
 解説によれば、チェホフと劇場側は初演時から演出の点で対立していたらしい。チェホフは自分をオプティミストと称している(正確には「『ペシミスト』の正反対」)ので、恐らくこの作品も新たな出発というところに力点を置いていたのだろう。