123冊本その32「細雪」

 肩の凝らない作品。長いけどスンナリ読める。
 四姉妹の性格の書き分けが上手くなされているなあと思った。特に雪子がよい。内気でたおやかなんだけど、芯は案外強くて頑固。こういう人いるいる、と会わなくなって久しい懐かしい友人を思い出したりした。
 それにしても昭和10年代の大阪がこんなにも華やかだったとは!良家の子女が主人公であることを差し引くとしても、私の戦前への想像偏見を見事に裏切る豪華さ。当時の世態風俗のいいとこどりができる、まさに「最良の意味での風俗小説」(新潮文庫解説」)だった。