123冊本その40:「小説神髄」

 森鴎外がこの書を評して「あれはあの時出なくてはならぬ書だ」と言ったそうだがむべなるかな。古今東西の書を繙いて、小説全体の体系化を図る剛力ぶりには恐れ入った。
 「演劇とは真物並びにある物(リヤリチイ・プラス・サムシング)を擬するものである」「小説にはコメヂイ(快活小説)・トラゼヂイ(悲哀小説)・トラゼコメヂイ(哀歓小説)がある」などの記述、またやってはいけない脚色11ヵ条が面白かった。トラゼコメヂイが読みたい。